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不動産ローンと為替相場の変動

為替相場は、一つの通貨(例えば、日本円)のみを基準とするのではなく、マルチカレンシー(多通貨)で捉えるべきであるとお考えの方も多数いることでしょうが、あまり事例を複雑にすると分かりにくくなりますので、ここでは日本円とマレーシアリンギットだけで考えてみます。

10万リンギットの不動産を購入するとしますが、全額を現金で購入する投資家もいれば、銀行ローンを利用する投資家もいます。

マレーシアは、外国人投資家にも銀行がローンを提供しますので、日本人投資家にも銀行ローンの利用はお馴染みになっています。

ここで、70%の銀行ローンを利用した場合で考えてみます。つまり、自己資金は、3万リンギットで7万リンギットは借入です。バランスシートのように考えると、資産は10万リンギット、負債は7万リンギット、資本(自己資金)が3万リンギットになります。

為替相場が円安になったとします。そうなると資産に含み益が生じます。一方、負債には含み損が生じます。資産と負債が同額であったら、為替相場が変動しても、為替差損益がいつも相殺されることになります。これは、ALM(アセット・ライアビリティ・マネジメント)の手法の一つです。資産と負債を同一外国通貨で同一額持っていれば、為替の影響を受けないことになります。

結局、この投資家が為替相場の影響を受けるのは、自己資金の3万リンギットに限定されます。つまり、銀行ローンの利用によって、為替リスクが小さくなっています。

将来の為替相場を見通すことは不可能ですから(これは定説です)、どのような相場になるか不安な投資家にとって、銀行ローンの利用は一つの運用テクニック(リスク管理手法)にもなります。

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マレーシアでは、物件や銀行などによって条件は異なりますが、70%程度まで銀行ローンを利用することが可能です。
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